『旦那さーん、居りやすか~い?』
「おう、いるよー」 「久しぶりに二匹お揃いで、どうしたい?」
『いやね~、ここに三日、やたらと来客がある様なんで、何事かなと思って、ちょいと様子をうかがいにに来たんでさぁ』
「ああ、それね、選挙が近いんで、いろいろ人も来るんだよ」 「誰を出そうかとか、お偉方で相談するんだな」 「兄さんもそのお偉方の末席なんでねぇ」
『そうですかい、選挙があるんですかい』
「おっ、お前たち選挙が何だか知ってるの?」
『うちら、新聞取ってますから』 『こないだも、載ってましたぜ』 『ビーバーのガジ子がライバルのミーアキャットの何とかを抑えて一番になったと』 『うん、一番一番、初めて一番❣』
「それは、飯田動物園の動物総選挙だろう」 「私が言っているのはねぇ、村の議会の選挙」
『でも、みんなの投票で、人気ベストテンとか決めるんでしょ?』 『それなら、村の選挙も、動物総選挙もどっちもおんなじ様な物じゃないですかい』
「ううう~ん、言われてみれば確かに同じような・・・」
『で・・・その誰を出すかは、決まったんですかい?』
「うん、お陰様でもう後がないぎりぎりの今朝決まったよー」 「これで、暫くはまた静かになるだろう」
『そうですかい、訳も分かったんで、うちらそろそろお暇を』 『おっと忘れてた、今度散歩に出るときはうちらもお付き合いしますぜ』
『それじゃあ、ごめんなさって』 『うん、ごめんなさってしあさって』