「雪ん子」の試し摺りを終えました。 その作業中、余分なインクを取り除こうと、たまたま傍にあった使用済みの転写フィルムに摺り取ったら・・・・これが思いがけず素晴らしい表現に・・・
こうしようと考えていた表現とは全く違い、自分の思いもつかない世界が突然≪ひょい≫と出てきた感じ。考えに考え版を組み、こうすればこうなると、理詰めでやってきた努力をあざ笑うかのような・・・
制作者なら分かると思うのですが、これはめったにはない幸運、気まぐれ天使からの贈り物。
ありがたくこの幸運を拾わせていただき、結局、「雪ん子」は二種類の色違いで作ることにしました。どちらが良いか決めかねるなら、両方作ればいいことと決めて。
始めの計画通りの摺り、これは雪国の子どもが「藁ぼうし」を被っている印象の作品。素朴で野性的で温かい。
もう一つの、偶然がいくつも重なってできた≪天使の贈り物」の方は、≪雪の精≫の趣。静かで雪女の世界にもちょいと近づいて、寒そうな。「雪ん子」は「雪童子」(ゆきわらし)とも呼ばれることがあり、その意味は子供の姿をして現れる雪の精だとか。まさにそんな感じの仕上がり。
ここで余談。 「雪ん子」は地方によっては「雪女」の子どもと言うところもあるそうです。でも「雪男」の子どもと言われることは日本中どこにもないそうです。 わかる気がしますね。
さて、雪の精の方のために、もう一版必要になりました。 明日の仕事。これで「雪ん子」は全11版、色違い二種に。