『だんな、お呼びで?』
「おお、早速来てくれたな、ありがとう」 「今日はお前たちに名前をつけて上げたいと思ってな、それで呼んだんだよ」
『えっ、こんな虫ふぜいのうちらに名前ですかい』
「そう、いつも≪どっか遠くへ行きたい虫≫ や ≪何かいいことないかな虫≫じゃあ、長くてよびにくいからねぇ」
『へえ、それでどんな名前をいただけるんで?』
「どっかくん と なんかくん」 「これでどうだろう?」 『お前たちさえよかったら、こんどからはこう呼ばせてもらうよ」
『良いも悪いもありませんや、旦那さんから頂いた名前なら喜んで使わせていただきやす』
「そうかい、そりゃあ良かった」 「で、来てもらったついでと言っちゃあなんなんだけど、また聞いてもらいたい話があるんだよ」
『前みたいにこんども夢の話じゃないでしょうねぇ』 『で、どんな話で?』
「いやぁ、最近妙なことが気になってねぇ」
『どんな、妙なことなんですかい』
続く