「旦那ぁ、今日も一日ご苦労さんでした」 日も山陰に入ったので仕事を終えようとしていたら、背中越しに虫の声。
『なんだ突然、お前たちは背後霊かぁ』
「そんな大したもんじゃ御座いませんよぉ、旦那には立派な背後霊様が付いていらっしゃるし」「うん、貧乏神様貧乏神様」
『・・・・・・・』
「旦那ぁ、それより今日はいい息抜きになりやしたねぇ」 「うん、息抜き息抜き」
『さうだな、久しぶりに陽を浴びて、外の空気を吸って』 『お前たちも少しは気が晴れただろう』
「へい、それに満蒙何とかの勉強にもなりやした」 「うん、勉強勉強」 「旦那もここ最近は、晩酌する気力もなく食事が済んだらばたんきゅーでしたから、今夜は美味い酒飲んでくださいや」
『おおっ、たまにはいいこと言うねぇ、虫くん』
「旦那ぁ、それより知ってますかい」
『何を?』
「さっき、スマホで見たんですがね」 ・・・スマホ・・・持ってるんだぁ・・・
「コロナにかかると味も匂いも分からなくなることがあるんだって」 「そりゃこまるこまる」
この話、本当なんだろうか?