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岡本流生清内路通信

春雷 2

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春雷 2

1からの続きです。

『えっ、そうなんですかい』  『知らなかった知らなかったのシラス干し』

「いやぁ、本当は私がかってに作ったんだがね」 「この、兄さんの家に転がり込んで居候を始めたのが、5月8日だったんだよ」 「もう、7年も前の話だなぁ」

『なるほどそういう事だったんで、で、居候の日と』 『でも旦那を見ていると、ちっとも居候には見えませんぜ』

「そうかい? こんなに遠慮して小さくなっているんだけどねぇ」

『ぜんぜん、いったいどこが遠慮なんだか』 『で、旦那、この家に、部屋はいったい幾つあるんで?』

「台所と風呂場をのぞいて6部屋だけど?」

『で、そのうち旦那が使っているのは?』

「5部屋だなぁ」

『ほらね、そんな居候、聞いたこともありやせんぜ』 『それに、世間では≪居候 三杯目にはそっと出し≫って言うじゃないですかい』  『でも、旦那の場合は≪居候 明日は焼肉がいいと言い≫ですからねぇ』

「おやおや、それも聞かれてたか」 「でもねぇ、まじめな話、その7年前には、今のような幸せな自分を想像も出来なかったんだよ」 「これは、本当にほんとの話」

『旦那しゃん、チョイ、目がうるめイワシに・・・』 『おっ、雨も上がったみたいなんで、うちら戻りますわ』 『そうそう、旦那、いい友達持って良かったねぇ』 『うん、いい友達いい教え子いい仲間!』

「ほんと、そうだねぇ」 「じゃ、またおいで」

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