ご挨拶
18世紀中ごろ(江戸時代中期)の「紅摺絵」が日本の多色木版画の始まりと言われています。墨一色で摺られた輪郭線に赤や緑、黄などの原色が加えられた簡単なものでした。それから三百年近く、日本の伝統木版画が辿り着いた到達点こそ今回展示されている吉田博・遠志両先生の作品です。
今後このお二人に並ぶ作家は出てこないと思われます。後に続こうと志す若い人が見当たらないのです。一人前になるまでに多くの時間と資金、そして続けるための強い意思の力を必要とする世界です。仕方がないのかもしれません。
ニューヨークからもパリからも、世界中から、木版画愛好家の「観たい!」と言う声が聞こえてくる気がします。お二人は世界の木版画家、コレクターの目標であり憧れなのです。
今回は弟子の私まで加えていただきました。企画してくださった実行委員会の方々に心より感謝いたします。遠志先生とはアメリカでの「師弟展」以来40年ぶりのご一緒、加えて博先生まで。いささか緊張します。多くの皆様が御高覧下さることを心よりお願い申し上げます。
岡本流生
実行委員長様 広報担当委員様
明日の作業の時に、「あいさつ文」へのご意見お聞かせください。その場で決めてしまいたいなと思っています。
さあ、額のガラス磨きに戻るかな。