机に向かって仕事をしていたら、後ろで何かごちゃごちゃ言っている声が聞こえます。振返って見てみたら、声の主は壁にかけてある≪黒い皮じゃん≫でした。

「そんなに一日中机に向かって仕事してて楽しい？」「外はすごくいい天気だよ、ぼくを着て何処かへ出かけようよ」　「颯爽と！」

うーーーん、これはなかなか魅力的なお誘い。桜の開花を確かめながらぶらぶら出かける手も有りか？　　心が揺れますが明日には注文しておいたマット３３点が届くし・・・この版木も仕上げて送り出さなくちゃならないし・・・高森の展覧会のチラシに載せるあいさつ文も書かなくちゃいけないしなぁ・・・

心を鬼にして再び「モガ」の摺色指定書を仕上げる仕事にもどりました。

「あ～あ、桜が咲けば風も温んでくるし、これじゃぁしばらくまたぼくの出番はないなぁ」革ジャンののぼやきの声が聞こえます。


１月の末から３点同時進行で彫り始めた新作もその内の１点が彫り上がりました。明日、東京の摺師のもとへ送り出します。　ただし摺るのは沼さんではなくお弟子さんのSさん。小品ですがきらを撒いたり難しい足の長いぼかしもあります。　沼さんが横について指導するというので任せてみようと。

後の二点も八割がた彫り終わりました。　これは大きいので沼さんに摺ってもらうしかないんだけど・・・例によって沼さん、忙しいからなぁ。　いつ仕事に入ってくれるやら。７月の展覧会に間に合えば一番いいんだけど。