中日新聞 2020年 8月22日 7面(社説・発言欄)掲載のコラム『紙つぶて』をそのまま転載します。 このブログの読者には物造りに関わる人間も多いので。 私の意見は今は書かずにおきます。
ギャラリーの仕事 辻 和美
モノを作りだしていく人たち(作家)に対して、作品を世の中に紹介していく人たちがいる。それは学芸員だったりギャラリストだったり、お店のオーナーだったりする。
一口にギャラリーと言っても、いろいろな種類がある。まずは営利か非営利かというスタンスの差がある。営利なら、どのジャンルを扱っているかという経営者の好みも大きい。日本では、貸画廊制が1960年代から広まった。若手の登竜門的な存在なのだろうが、私はあまり好まない。場所だけ賃貸しして内容にあまり関心がないとか、展示も客を呼ぶのも作家にお任せでは、作る側の負担が大きすぎる。作家と社会をつなぐギャラリーには、ぜひ一緒にリスクを背負ってほしい。
私自身はニューヨークで専属ギャラリーが決まってから、その本当の仕事を垣間見るようになった。
(続く)