『旦那さん、お呼びで?』
「おっ、虫たち、早速来てくれたのかい、これはありがたいねぇ」 「呼んだのは、ちょいと、お前さんたちの意見を聞きたいことがあってな」
『へえ、で、その、何の意見で?』
「うん、明日から友人の惠子さんの個展が始まるんだが、お祝い、何を持っていったらいいかなと悩んでいるんでね」
『旦那さんは、何がいいとお考えなんで?』
「うん、これまではワインを持って行ってたんだけど、いつもワインじゃ、馬鹿の一つ覚えと思われないかと思ってねぇ」 「今回は趣向を変えて、私のとっておきの≪宝物≫なんかはどうかなと」
『そうですかい、で、その≪宝物≫ってえのは?』
「よくぞ聞いてくれたねぇ、それはジョロウグモの奇麗な抜け殻」 「それで足りなかったらアゲハチョウの蛹の抜け殻も付けてもいいかなと」
『だんなぁ・・・・それは止めておいた方がよろしいかと」 「だいたい女性は虫が苦手ですし、可愛くもないかとおもいやすぜ』
「そうかねぇ、奇麗だし胸元に留めておけばちょっとしたブローチなんだがねぇ」 「それなら、やはり≪宝物≫のドングリにするかねぇ」 「今年のドングリは貴重だし」
おバカな話はさらに続く