前回の投稿、蓮蔵栄治雄さんからの手紙は私の一番の宝物。この手紙を読み返すたびにどれだけ励まされ力を頂いたことか。 このような手紙を受け取ることは、長い人生でもそう何度もあるとは思えません。
自分の作品、世に問うべく密かに期待した作品をこれほど的確に読み取ってくださる方がいた幸運。それも同時代にいてくれた幸せなめぐりあわせ。
菊池契月の描く線に魅せられ、その端正で怜悧な女性像に憧れ、「こんな版画を作りたい!」と始めた初恋のシリーズ。時に苦行のような彫りの作業の間も≪やればできる、負けるな流生≫と自らを鼓舞しながらの辛い彫りの日々。
ありふれた美人画の対極にある≪画格≫を目指しての描線。そして現代の時代性を持つ美人画の創造。その想いの全てを観て取る鑑賞者が! いてくれた!
思いあれば通ずる・・・・まさにこのこと。 この共感こそが私の求めるもの。 思えば、大阪のKさん、埼玉のMさん、そして横須賀のHさんからの手紙にも力をもらいました。
さて今日は、立春。 名のみの春ではなく本当に暖かな一日でした。「子猫をひろって」の中彫の続き。 光の具合の良い時間を見計らって顔に二度目の刀を入れました。 目や鼻や口に刀を入れる時は何度やっていても心が怯みます。
明日はさらい。明後日から仕上げ彫り。
最後に。仕事をしながら思ったこと。妻は幸せにやっているんだろうか。幸せでいて欲しいと思う気持ちが半分。そうではない気持ちも半分。 まだ人間ができていないなぁ。