１からお読みください

『あのコロナってやつもやっぱり虫なのかい？』

「へい、そうでやすよ、組合には入っていませんが」　　　・・・組合が・・あるんだ・・

『それで、やっぱりお前たち仲間の中でも嫌われもんなのかい』

「そんなことありませんぜ」　「うちら、他虫の生き方で差別はしないんでさぁ」　「そりゃあ、花の蜜だけ吸っているような虫ばかりなら、旦那たち人にとっちゃあいいでしょうが」　「人間の血を吸わなくちゃ卵も産めない虫だっていやすから」

「生きるためにすること、こればっかりは、虫それぞれでしょうがないんで」　　「そうそう、みんなちがってみんないい」

『おっと、どっかで聞いたような』　　

「それに、コロナも身の上話を聞いてみたら、あれでなかなか可哀そうなもんなんで」

『えっ、コロナって、可哀そうなやつなの？」

「なんでも、何千万年も、それこそ人間なんかいない時代から山奥でひっそりと暮らしていたらしいですぜ」　「野生の動物と共に」

「その動物を人間が獲るようになって・・・・」　「まあ、話が長くなるんで、今日はこんなところで」　　「そうそう、晩飯の支度も有るんで、それじゃあ」