新作の製作は山場を越えた感じです。あとは、鯉のひれや模様の赤など細かい彫を残すだけ。これが済んだら、オークションに送る作品の選別、梱包、送り出し。

今日、仕事中に思い出していたのは、横須賀の長井荘。東海区水産研究所の研修生だった時の下宿で、結婚後の新生活もそこで始めました。　

六畳一間に四畳半の台所と便所、月七千円の家賃でしたが、建物は老朽化しガタガタ、押し入れは雨漏りがし畳みも破れていて。狭く急な階段のコンクリは一部剥がれ落ちていました。

長男が生まれた時、結婚以来絶縁されていた両親がそのアパートに訪ねてきたときは私も妻も驚きました。

考えたのは、その時の両親の気持ち。親の反対を押し切っての学生結婚で、卒業後も就職をしなかった息子。見るからにうらぶれたボロアパートで子供たちを教えながら版画家を目指すと・・・しかも子供まで生まれて・・・

その急で狭く、コンクリも剥がれ落ちた階段を帰っていく時、二人は何を思っていただろうか・・・　とてもとても不安だったのでは・・・

「窓辺のNao」はその時代の作品。私がこの作品が好きなのは、愛さえあれば何も恐れるものが無かった頃の心の証だから？


さあ、明日はどんな一日に。