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岡本流生清内路通信

自画自解 41 古都祭図 その一

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自画自解 41 古都祭図 その一

41.古都祭図   1987年  15版  

この作品も苦労した作品。 下絵から完成までに、5ヶ月ほどかかりました。 また桜の版木を手に入れるのもたいへんでした。注文してから半年ほど待たされた覚えがあります。板幅55センチ、長さ66センチ、厚さ3センチの山桜のむく。簡単には良い原木が見つからなかったためです。

その無垢板の版木も、10枚ほどの初刷りが終わった後、反りが入り、狂いが出たために使用困難になりました。 それでも同じ色版を何度かに分けて摺るなどして二番摺りの25枚ほどを摺り終えて絶版としたのでした。(版木に狂いが無くても、これだけの大きさになると、ずれない様に色版を重ねていくことは一流の摺師でも難しく、二番摺りをお願いした名人摺師から、もう次は勘弁して欲しいと言われたことも絶版を決める理由になりました)

今は、桜の合板、(1.5センチ厚のシナベニアの合板の表と裏に厚さ6ミリほどの桜の単板を張り付けたもの)が開発され、反りや伸び縮みの心配はなくなりました。 また単板を寄木にすることで板幅の広いものでも手に入れやすくなったのでした。 ただ、質は昔ほど良いものは少なくなりました。

この絵の背景の町並み。その中に、両親、私、妻、二人の息子、版画の師など、私にとって大切な人の名前や頭文字が彫り込まれています。これも何ヶ月も続く作業を少しでも楽しく思えるようにするための私なりの遊び。

そのことを、アメリカンクラブでの展覧会の時に、秋篠宮妃殿下紀子様にも、一つ一つ指で示しながらご説明したのでした。
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