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岡本流生清内路通信

自画自解 44 この胸の想いを

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自画自解 44 この胸の想いを

44.この胸の想いを   シリーズ「初恋」より  2007年 14版  

技法の話から。まず背景の沖縄の紅型。この部分には墨版(輪郭線の版)がありません。そのため、各いろがずれないようにするため、一色彫ってはそれを転写し、その隣り合う色を彫ることを繰り返しています。

また、薄い生地から透けて見える肩の色は、あてなしぼかしで表現しました。 衣服の一部、帯の黒い柄の部分は、電動のルーターに歯科技巧師が用いているビット(ドリルの刃先)をつけて彫っています。

沖縄は、30代の頃、仕事で何度か訪れたことがあります。 個展をしたり、アメリカンスクールで版画のデモンストレーションもしました。 二泊三日程度の短い滞在期間中は仕事に終われ、憧れの沖縄の海で泳いだり、郷土料理を楽しんだりすることは出来ませんでした。

一度、基地の司令官から、ご自宅での夕食に招かれたことがありました。ステーキとデザートで、 問題はそのデザート。 ご夫人が焼いたそのケーキは、砂糖の塊かと思えるほど甘く、そしてBIG! 失礼のないようにと、なんとか食べきったのですが、内心、糖尿病になるのでは?と思ったことでした。

司令官の腰には、お弁当箱の3倍ほどの大きさの箱型のケース。 今思えばあれが当時の携帯電話だったのですね。

この絵もそうですが、私の作品には“手紙”がよく小道具として登場します。今ざっと思い出しても7,8点はあります。気持ちを伝える手段としては、もう主役ではない時代なのは分るのですが、さて、携帯やスマートホンで、その情感を描けるのか? 私には自信がありません。(ただ、携帯の画面を見つめる少女の下絵はあります)

余談ですが、何度目かの沖縄行きの時、早朝出発の便に乗るため、羽田に近いホテルに前泊中に体調を崩しました。 これが、その後20年以上に亘り私を悩ますことになるパニック障害の引き金になったのでした。

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