久しぶりに虫たちと遊びました。

『で、旦那、うちらに話って、何ですかい？』

「いやぁ、呼び出して悪かったねぇ」　「大したことじゃないんだが、ちょと聞いて欲しいことがあってね」　　「昨日の夕食時に、兄さんと話したことなんだけどね」

『へえ、あにさんとはどんな話をしたんで？』

「このコロナ騒ぎで、いろいろ皆大変な中、もうけた会社もあるじゃん、マスクの会社とか、消毒液や体温計の会社なんか」　「で、私のような絵描きが儲かる様な、そんな感染症は無いもんかねぇ？と」

「あにさんは、そんなの絶対にない、どうすればそんな考えが出てくるんだと呆れてたけどねぇ」　「宇宙のどこかから、≪美しい芸術作品に弱い≫　そんなウイルスが地球に飛来することだってあるかなと」

『うちら、そんな≪虫≫のことは、聞いたことないすねぇ』

「そうかぁ、でも宇宙は広いから、ありえない話とは言い切れないだろ」　「もし、そんなことになったら、私の版画もバンバン売れて・・・」　「そうなったら・・・・プール付きの豪邸建てて・・・ビキニの美女侍らせて・・・プールサイドでブルーハワイかなんか飲んじゃって・・・・」

『旦那、おさえておさえて、眼が行っちゃってますぜ』　『うん、いっちゃってるいっちゃってる、ついでによだれもいっちゃってる』

『それに旦那、もし旦那の版画を感染除けに飾ったお方が感染したらどうなるんで？』　『うん、あまびえさま　あまびえさま』　　
『それこそ、旦那の版画は美しくも何ともないと言うことになっちまうんじゃないですかい？』

「うん、そのことなんだが、それは、大丈夫、ちゃんと考えてあるから」　「額の裏に、〈尚、効果には個人差があります〉って小さく書いておくから」

『・・・旦那さん、うちら・・・帰りますわ』　『夢から覚めたら、また呼んでください』　『じゃぁ、御免なすって』　『うん御免なすってのまたあした』