朝からかなりの雨。いつもの冬なら大雪になっていたでしょう。天気予報では明日以降も曇りや雨のぐずついた天気が続くようです。
今日は一日下絵の清書。新作小品「海恋し」は去年の秋に、そのアイデアを得たものです。篠井ののり子さんの家で飲み会をした翌日の朝、年賀状用に描きたかった薊を探しに出ました。
見つけた薊をスケッチしたあと、少し周りを散歩していた時に、つる草できれいな実をつけたものを見つけました。 セルリアンブルーとマリーンブルーの二色の実の色になぜか私は≪海≫を見た思いがしたのでした。
「秋の草の実の色に夏の海を見る」こんな感じ。 それを今回作品にと描き始めたのですが・・・悩んだのは、何処にどう≪海≫を描き出すかでした。
何度か描きなおし、結局横顔の髪の中に。 ぼやけた写真のように、周りが霞む感じで。
そこに描きだす≪海≫にも悩みました。岬に灯台、沖に白帆のヨット、水平線の上には積乱雲。描いて色を付けると・・・なんか説明的でうるさい。
「そうだよ、秋の実に海を見たのは・・・その色なんだよ、あの時の気持ちに戻らなきゃ」と。ヨットはやめ、灯台も遠く小さくし、セルリアンとマリーンのブルーだけが目立つようにして、やっと落ち着いたのでした。
そして、そうなると次は瞳。 横顔で前を見据えていながら、実は思いは後ろ、頭の中に向かっていることが瞳に表れていなくてはならないのです。 なんどか描きなおしてクリア。
この新作、小品ですが時間がかかりそう。つる草の枯れた葉や実の線が複雑で繊細。こちらに来てからでは一番のきつい彫りになるでしょう。