岡本流生清内路通信
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自画自解 26 講演 3
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2024/09/22 01:58
自画自解 26 講演 3
その影響から、私も版画に詩をつけ、同人誌に発表するようになったのでした。 そこで、同じく詩を書いていた、今の妻と知り合う事になるのですが、 それはまた別の話しですね。
その時代の事で思い出すのは、それまでは学童用の彫刻刀を使っていたのですが、初めて専門家用の刀を手に入れたことです。 連発と言う刀がある事を知ったのもその時でした。それまで、澄生の作品の写真をじっと見つめては、ここはこう刀が入っているなとか、ここは間すきかな、ここは駒すきかな、などと考えながら、技術を盗むように学んでいたのですが、その中で、どうしても分らない、同じようには彫れない謎の部分がありました。
それが、連発と言う刀を知って、ああ、これだったのかと初めて、疑問が氷解したのでした。話しはそれますが、今回のお話を頂いて、澄生の詩を読み返していたときに「顔」の詩からイメージを得て木版画を制作しました。 その版を彫るとき、私はこの連発を使いました。 私なりに、何か今回の事を記念する作品を作りたかったからです。
二十代の半ば、私は初めて版画協会展に入選しました。 恩地孝四郎、山本鼎、と言った、創作木版画の蒼蒼たる先人たち。 その人々が築いた会に入選したことに、私の心は浮き立ちました。 と、同時に、これでやっと川上澄生に会える、初日の懇親会では何を話そうと、期待が膨れ上がりました。
しかし、残念ながら、澄生はその二年前に亡くなっていたのでした。
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2019/01/25 11:48
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