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岡本流生清内路通信

BBSより Ⅱ

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BBSより Ⅱ

ネットの世界に国境はない     2005年

今日から始まった、アーテリノでの中国の作家のソロオークションを観ていました。予告に載った版画が良かったからです。名前も知らなかった版画家でした。

高度高原に暮らす遊牧民の生活が、圧倒的な自然の雄大さ、荒涼さの中に描かれた作品群。作者の対象を見る目の確かさ、暖かさを感じました。

素朴なタッチ、抑えた色使いにも好感が持てます。こうしてオークションを観ていると、ネットの世界には国境は無いんだなと改めて思います。と言うのも、中国、日本、アメリカ、ヨーロッパと、出品する作家もいろいろですが、ここでは同じ土俵の上でまさに戦っているわけですし、入札する側のコレクターも、アーテリノによるとほぼ全世界に渡っているのですから。」

二十年以上も前のことですが「版画辞典」と言う本のアンケートに応えて私はこう言っています。「批評ばかりが先行する時代は不幸だ。 絵は沈黙せざるを得ない」 ここで私が言いたかったのは、絵そのものに、見る者に何かを語り掛ける力が無くてはならないという事でした。

四半世紀の時を経て、今、時代はまさにそのようになりつつあるようです。ずらりと作品が並んだオークションでは、まずその絵に魅力がなくては始まりません。

自国では重きを置かれているかもしれない何処かの会の会員だとか理事だとか、或いは国の認めた第一級芸術家と言ったような肩書や地位や政治力は、ネットオークションの世界ではほとんど意味がないように思えます。

版画を何十年もやっている、それなりの地位を持った者の作品も、初めて版画を作った高校生の作品も、同じ場、同じ条件で愛好家たちの肥えた眼に晒される。 何と愉快な時代でしょう。何と公平な世界でしょう。

更にもう一つ、ネットで素晴らしいと思える事が有ります。 それは、今で来たばかりの新作をその気になればその日のうちに世界中のコレクター達に観てもらえるという事。 本当に芸術家にとって面白い時代になりました。


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