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岡本流生清内路通信

自画自解 11 美麻にて

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自画自解 11 美麻にて


11.美麻にて  シリーズ「風景」より  1980年 12版 

40年ほど前の話です。 旧美麻村(今は大町市美麻)の廃校となっていた旧美麻小中学校が私の版画の師であった吉田遠志先生に払い下げられました。

先生は、その校舎を芸術・文化活動の拠点とする事を考えられ「遊学舎」を設立。ご子息の比登志さんが責任者として運営に当られました。 

先生御自身は体育館をアトリエとし、世界最大の多色木版画の制作に入られ、私も何度かそのお手伝いをしました。

その後、先生のご縁で、美麻村とカリフォルニアのメンドシーノ郡が姉妹村となり、その記念の版画集を制作することが計画されました。 弟子の私達にもお声がかかり、私は「夕景色」、「秋風」の二点の美麻風景を制作しました。 ここに展示したのはその内の「夕景色」です。ただ、版画集自体は、理由はわからないのですが、結局刊行されませんでした。

おそらく当時の先生は限定部数8千枚などと言った大きな仕事を幾つも抱えておられたので、忙しすぎて画集用の作品にまで手が回らなかったのではと推察しています。


メンドシーノでは、私も木版画の講師を務めました。アートセンターに家族で寄宿したひと夏は、我人生最良の日々と言えます。独立記念日のパレードに、和服の妻と幼い息子二人が「美麻・メンドシーノ姉妹村」と書かれた横断幕を掲げたオープンカーで参加したのも忘れられない思い出です。

この美麻とメンドシーノとの交流は、美麻村が大町市と合併した後も続けられ、今では毎年数十人の子供達が相互に訪問し合う大きな事業になっています。

最後にこの版画の技術的なことを一言。 墨版(黒で摺られている版)は木ではなくパフボードを使用。これは学童の美術教育用にと開発された合成樹脂版で、柔らかく彫り易いのが特徴。細かい図柄にも向くのですが今は生産されていないようで
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