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岡本流生清内路通信

自画自解 2

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自画自解 2


2.EXLIBRIS (姉妹) 1978年  12版

 EXLIBRIS (蔵書票)は元々は愛書家が自分の蔵書であることを示すためにその奥付に貼り付けた小さな紙片のこと。 その後、版画による凝った図柄のものが現れ、コレクションや交換の対象となりました。

 大きさに特に規則は無いのですが、奥付に貼るという本来の性格から、小さなサイズが普通で、葉書サイズ以下と言うものが大半。小さくて美しいものが多いためか、「紙の宝石」とも呼ばれます。 日本の多色木版画によるものはコレクターの間でも特に人気が高いようです。

また、蔵書票は普通コレクターからの依頼により制作されます。注文主は自分の職業や趣味などに関係する図柄を指定する事も多いようです。私の場合は、“エロチックな図柄で”との注文でこれまでに6点制作しました。

2006年 スイスの美術館で EXLIBRIS愛好者の世界大会が開催されました。その折、私が制作した蔵書票5点が会場に特別展示されました。作品はその後フランスでも展示された後、スイス、フランス両国の美術館に収蔵されました。

その時のテキストには、私の作品についてこう書かれてありました。・

・・・版数18版、摺り度数40回は蔵書票としては稀有の物である・・・・岡本が作る蔵書票について一つ不満を述べるなら、それはその価格が極めて高価であるということ・・・・

確かに、100枚の注文生産で数万と言うのが相場の中、私の作品の場合はその十倍はするのですから。 まあ、それだけ手も込んでいるのですが。

この「姉妹」について述べると、まず、バックに焼けた箔を用いているのが珍しいと思います。蔵書票に箔を使っているのは殆んど無いのでは? 少なくとも私は見たことがありません。 また、右下の鴛鴦、普通なら番で描かれるこの鳥を、雄雄としたところにデザイン上の私の仕掛けがあります。

余談ですが、スイスでの世界大会以後、アメリカやヨーロッパのコレクターからの注文が相次ぎました。 当時は初恋シリーズに専念していたため、お断りしたのですが、将来的にはまたやってみたいと思っています。 何と言っても小さな画面の制約の中で色々工夫や腕を振るうのは挑戦的で楽しい仕事なので。
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