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岡本流生清内路通信

自画自解 27 誰が踏みそめし その2

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自画自解 27 誰が踏みそめし その2


更に、その中の私に関する記事のタイトルが、私の思いを的確に表していて、とても気に入ったのでした。 「岡本流生  初恋の眼差しを彫る」 編集者が付けてくださったこのタイトル、いつか自分の個展でも使いたいと、いいえ、絶対に使おうと思っています。


その記事の冒頭の部分をここに引用します。

                まだあげ初めし前髪の 
                林檎のもとに見えしとき 
                前にさしたる花櫛の
                花ある君と思ひけり     (島崎藤村 「初恋」より)

思春期の情感が格調高い文体の中に瑞々しく謳いあげられた、有名なこの詩の一節を、岡本流生はよく版を彫りながら口ずさむ。 版の中で姿を現しつつある少女が、生命を宿すがごとく彫りあがるようにとの祈りを込めて。

この詩が喚起させるさせるような、ひたむきさに溢れる清楚な女性美を、岡本は同名のシリーズにおいて、この8年間わたって描いてきた。 伝統木版画の和紙と水性顔料がもたらす湿潤感。 それこそが表現したい女性の心の湿度、すなわち叙情的な核心を引き出してくれると考えている。

岡本の女性像で特徴的なのは、浮世絵や新版画などに共通する(今ではほとんど試みる者のいない)、繊細な輪郭線による表現である。・・・・・・(版画芸術 2005年 第129号より)


最後に技術的な説明を加えると、スカートの部分に板ぼかしを使っています。また、墨線の目立つ白いシャツの部分は、特に細い線も使いました。 桜の版木でも残せるぎりぎりの線もあります。

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岡本流生
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