37.カトマンズの少女 シリーズ「アジアの子供」より ネパール 2003年 17版
小品である割には、墨版の彫に時間がかかった作品です。 まずは、この絵の説明から。 展覧会の時のカタログより転載します。
カトマンズの少女 ネパール
インドやネパールを旅していると、普段は思いもしないようなことを考えます。死についての思いもその一つです。ここでは人間の死がありのままの姿で見えているからでしょう。
ガンジス川の岸辺では、一日中火葬の煙が立ち昇り、恋人たちはベンチで寄り添いそれを眺めています。灰になるだけの自分、だからこそ今を大切に生きたいと思ったりもするのです。
カトマンズでは、クマリと呼ばれる生き神様の少女とお会いしました。でもこの絵の少女は普通の少女、生き神様ではありません
。
ここで、シリーズ「アジアの子供たち」 について、少し書いておきます。20回近い取材旅行で、制作した版画は40点ほど。 その三分の二が女の子。 今回の展示で、その女の子の作品ばかりなのは、男の子の作品に良いものが少ないことによります。これは、私の趣味ばかりではなく、民族衣装など、女の子のほうがどうしてもその国らしい服装をしていることにもよります。