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岡本流生清内路通信

自画自解 39 あの夏の日に

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自画自解 39 あの夏の日に

39.あの夏の日に  シリーズ「アジアの子供たち」より  日本 2000年  15版  

この作品は私の数多い版画の中でも最も時間がかかったものです。 画面が大きいうえに図柄も細密。そのため、彫りの作業は困難を極め、途中何度も中断。その間他の作品をやり、また戻っては投げ出す、そんな繰り返しでした。

本気で完成を断念しようと考えたことも有りましたが、何とか仕上げることができました。 下絵を描きあげてから、五年以上の年月が経っていました。

この絵の場所は山形。 妻と東北の秘湯を巡る旅の途中、一日、車を雇って集落を取材して回った時に出会った廃屋です。 下絵では「棄郷」と題名を付けたのですが、長い期間版と向かい合っているうちに、この家に暮らしただろう家族の気持ちに思いが至り、今の題「あの夏の日に」としたのでした。 絵の中の少女のモデルは、教え子の子ども。

リストで確認すると、摺りあがった作品はわずか10枚。 それだけ摺りもたいへんな作品です。余談ですが、この時訪れた秘湯の内の、肘折れ温泉には朝市がありました。 本当に素朴な朝市。機会が有ればもう一度訪ねてみたい秘湯です。


最後に、HPより、この作品につけた文を転載。


       あの夏の日に  日本


”物より思い出”というテレビコマーシャルがありました。その言葉を初めて耳にしたときは、思わず心の中で頷いてしまいました。

物は何時かは壊れて無くなります。でも思い出は決して壊れたり無くなったりはしません。其れに何より、どんなに増えても場所を取りません。

この絵の民家は山形で見たもので、もう誰も住んでいません。やがて消えていく家です。しかし、此処で暮らした人々の心の中に、その思い出は。いつまでも生き続けます
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