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岡本流生清内路通信

自画自解 43 狐女童 

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自画自解 43 狐女童 

43.狐女童 (きつねめわらべ) Picnic 1   1990年 17版  72度刷り 

下絵から完成まで、半年近くかけた作品。 本来はPicnic 2との対になる。 この1と2を1991年(1990?)に、版画協会展に出品し会員推挙を受けたのでした。

今回の展示品は残念ながら完璧なものではありません。 試作品です。出来が良く、限定番号を入れることが出来たのは、1が18枚、2は7枚しかなく、私の手元にも良いものがないのです。 
この作品は、ノルウェー、オーストラリア、ニュージーランドの国立、州立の美術館にも収蔵されています。しかし、最も完璧なできのセットは、日本人の美術品コレクターM氏のコレクションの中にあります。 いつか、大きな展覧会を開くことがあれば、その時はM氏からお借りして是非二点の対で並べてみたいものです。

ちょっとお金の話を。1と2のセット一組にかかる制作費用は? 紙は福井の今立で漉いて頂いた最高の越前生漉き奉書。二枚で6600円。 滲み防止のドーサ引き代、400円、純金箔51枚で(33×51)17340円、摺り賃18000円の計42340円。

これに版木代や絵の具の費用などを加えると、10セット作るには50万以上の資金が必要になるわけです。 (全て制作当時の値段で計算、今はもっと高いと思われます) しかも、これには私の一年近くの彫りの作業の労賃は含まれていないのです!)

伝統木版画には、お金がかかります。これが若い作家がなかなか育たない理由の一つでもあるのではないでしょうか。 生活費の他に制作費も稼ぐ、そして制作時間も確保する、この両立が難しいからです。


この作品は1993-1994年にかけて、41の「古都祭図」でも触れた、TICAのヨーロッパ巡廻「国際日本版画展」に出品。(スゥェーデン、トルコ、デンマーク、エジプト) その全ての国でヴィジーターズ賞を受賞(記憶では)。

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