6.ピエロ(顔) 試作
シリーズ「ぴえろ」より。ピエロのシリーズは、十代の終りから始まり今も続いているシリーズです。 初めは白黒でその後は多色で。
この、ピエロ(顔)は一版の木版の一度の刷りで、銅版画のメゾチントのような、色々な階調の黒を出すことが出来ないものかと試作したものです。結果は気に入っているのですが、何枚か摺ると、どうしても画面の調子が少しずつ違ってしまうのが欠点。 ただ、それはそれで面白いとも考えています。
この技法による作品も何点か有るのですが、全て試作のみ。私の持つもの以外にはノルウェーの博物館にあるだけです。
7.別れの日 シリーズ「アジアの子供たち」より インド グジャラート州 1999年
シリーズ「アジアの子供たち」は1995年のCWAJ現代版画展 40回記念展に於いて版画家奨励賞を受賞。(授賞式には皇太子妃殿下 雅子様がご臨席)
この賞は五年に一度、国籍、版種に関わらず、二人の版画家に与えられるものです。また、個々の作品に対してではなく、それまでの実績や今後の成長への期待(?)に対して与えられるもので、受賞者は海外留学や研修、或いは取材と言った活動に助成金を受ける事ができます。
また、受賞の5年後には、その成果を示すための個展をアメリカンクラブで開くことが求められます。私の場合はこの助成金を使いアジア各国へ取材へ出かけました。もう一人の受賞者はスペインへ留学しました。
さて、この作品 「別れの日」には、私の個人的な思い出が隠されています。 周りの枠の中に書かれているのですが、解読できますか? このような隠し文字は私のよくやることで、単調な時間が続く彫りの作業の中の一つの遊び、楽しみにもなっています。