タイトルは有名な作品、「この七つの文字」。 オリジナルは高松次郎が1970年代に発表したシルクスクリーンによる版画。 白い紙の中央に縦書きで≪この七つの文字≫と摺られているだけのものです。英語のバージョンもあります。それは≪THESE THREE WORDS≫
発表された当時、センセーションを巻き起こしたことは私も覚えています。版画の専門誌や美術誌も取り上げました。
何故か・ 文字(言葉)は何かの概念を常に持ちます。 木、魚、美・・・・つまり常に何かほかの≪他者≫を表出させる手段として理解されてきたわけです。でも高松のこの作品はその指し示す「表出される他者であるべき概念」がこの七つの文字自体(自己そのもの)に帰ってきてしまう、言い換えれば他の何物も表現していないと。
少し観念的になりすぎました。 でも、この作品の引き起こした事件の核心はまさにこの「観念」の逆転にあったのでした。
そして・・・この美術史に残るような「事件」がその作品自体をも「伝説」としたのでした。そして、「現代アート」の世界では、いいえ、他のアートの世界でも、この≪事件の当事者である≫かどうかが作品の価格に跳ね返ってくるのです。そしてそれは事件が大きければ大きいほど、世間が騒げば騒ぐほど跳ね返りも大きいと・・・
次回は最近のその例を