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岡本流生清内路通信

往復書簡 Ⅳ

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往復書簡 Ⅳ

吉川さんと私、同じアートの世界にいながら制作にかける≪思いの質≫の違いは大きい。彼我のこの差はどこから来るのだろう。 これが今日仕事をしながら考えていたこと。


生まれながらの資質、性格の違いは勿論大きいと思います。 育った環境もあると思います。 でも私が辿り着いた考えはそれとは違う別のことでした。

それは、芸術の世界に入った時の年齢が決め手の一つではないかという事です。私が木版画を作り始めたのが14の時。まさに思春期。そしてその後の青春の時期とまさに異性に対する感受性の高揚期でした。

当然、作る作品にも女性に対する思いが強く反映していて、その後も今日までその想いを引きずってきていると。十四五歳の私には、まだ周りの社会の矛盾や不条理に目が向いていなかったのです。(今でさえきちんと向き合えているかはあやしい)

対して、吉川さん。 彼がクラフトから芸術へと制作の方向を定めてまだ五年。 社会での不条理・理不尽に思える経験も十分してきた年齢。 マグマのように心の奥から吹き上げてくるこの世界への疑問、怒り、悲しみが≪これだけは表現しておかねば≫と彼を突き動かしたと想像できます。この≪マグマ・・・・・≫自体は彼自身がブログでも触れていることです。

よって、吉川さんの作る作品には、現代社会の問題を視覚的に露わにした彼の≪メッセージ≫がどうしても必要なのです。 私の作品にも≪メッセージ≫を持つものはあります。でもそれはほぼ全てが妻のNaoに向けたものです。 社会全体への≪警鐘≫などは考えたことさえないのです。


今年は吉川さんの個展も予定されています。 一点一点鑑賞しながら、その≪メッセージ≫を読み解く日がいまから楽しみです。

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